【コラム】ウォーターローディング(Water Loading)

「ウォーターローディング(Water Loading)」とは、体内の水分量を一時的に増やすことで、試合や大会の直前に体重を効率的に落とすための方法です。主に格闘技やボディビルの世界で、**減量(weight cut)**の一環として使われます。


🌊 基本の考え方

人間の身体は、普段は体内の水分バランスを一定に保とうとします。
しかし、大量の水を数日間飲み続けると、体が「水をどんどん排出しないといけない」と勘違いして、尿の排出が増えます。

その状態のまま、**試合直前に急に水分摂取を止める(または大幅に減らす)**と、体はまだ排出モードのままで、体内の水をどんどん出してしまいます。
→ 結果として、短期間で体内の水分が減り、体重が大きく落ちるという仕組みです。


💧 具体的な例(格闘家の場合)

たとえば、試合前に 5日間で体重を3kg落とす必要がある選手がいるとします。

水分摂取量内容
試合5日前8リットルかなり多く飲む(体が排出モードに入る)
試合4日前8リットルさらに排出が活発になる
試合3日前6リットル少し減らしても排出が続く
試合2日前4リットル体はまだ排出モードを維持
試合前日1リットル以下体が水をどんどん出し続け、体重が減る
計量後電解質+水分を少しずつ補給脱水を防ぎ、体調を戻す

→ このように、**「多く飲んで → 急に減らす」**という流れがウォーターローディングの基本です。


⚠️ 注意点(危険性も)

ウォーターローディングは、正しく行わないと危険です。

  • 水中毒(ナトリウム不足による意識障害)のリスク
  • 過度な脱水による腎臓や心臓への負担
  • 頭痛、めまい、集中力低下

そのため、プロ選手は管理栄養士やトレーナーの監督下で行うのが普通です。
一般の人が真似すると体調を崩す危険があります。


💡 身近な例でたとえると

ウォーターローディングは、
「会社で書類を大量に処分するために、コピー機を全開で動かし続けて、捨てるモードにしておく」ようなものです。
その状態で急に「もう紙を入れない」となると、機械はまだ動こうとして残っている紙をどんどん出していく。
結果、余分な紙(=体内の水分)が一気に減る、というイメージです。